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生成AIで注目のPCメモリ128GB!使い道と注意点

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LeanPower Lab | 生成AIで注目のPCメモリ128GB!使い道と注意点

LeanPower Lab運営者の「Masa」です。2024年から2025年にかけて、自作PC界隈やハイエンドユーザーの間で「PCメモリ128GB」というキーワードが急速に現実味を帯びてきました。これまではデータセンターや一部の業務用ワークステーションだけの特権的なスペックでしたが、生成AIの民主化や、実写と見紛うようなフライトシミュレーターの登場により、個人のデスク環境でも「128GBが必要になる」シーンが確実に増えています。とはいえ、メモリキットだけで数万円から十万円近い投資になるため、本当にそこまでの容量が必要なのか、導入することで何が変わるのかを慎重に見極めたいと考えるのは当然です。この記事では、ロマンだけでは語れない128GBメモリの実用的なメリットと、DDR5世代特有の技術的な導入ハードル、そしてコストパフォーマンスの現実について、私の経験を交えながら徹底的に解説していきます。

    • 生成AI(LLM)や8K動画編集における128GBメモリの決定的な優位性
    • MODを大量導入したシミュレーションゲームでの快適性の変化
    • DDR5メモリを4枚挿しする際に頻発する「起動しない」問題とその技術的背景
    • 失敗しないためのマザーボード選びと、あえて「96GB」を選ぶという選択肢
目次

生成AI時代におけるPCメモリ128GBの必要性

なぜ今、多くのユーザーが「128GB」という数字に引き寄せられているのでしょうか。ここでは、単なる「大は小を兼ねる」というレベルを超えた、特定の用途における技術的な必要性と、それがもたらすワークフローの変革について深掘りします。

128GBの主な使い道はAIと編集

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結論から申し上げますと、128GBという広大なメモリ空間が不可欠となるのは、主に「ローカル環境での大規模言語モデル(LLM)運用」と「プロフェッショナルレベルの映像制作・3DCG」の2つの領域です。

これまでのクリエイティブ用途では、32GBや64GBあれば「快適」とされてきました。しかし、4Kを超える8K解像度の映像編集や、複雑な物理シミュレーションを伴う3DCG制作においては、その常識が通用しなくなりつつあります。特に、Adobe After Effectsのようなコンポジットソフトはメモリを大量に消費します。

After Effectsのマルチフレームレンダリング

最新のAfter Effectsには「マルチフレームレンダリング(MFR)」という機能が搭載されており、CPUのコアをフル活用してプレビュー生成を高速化します。しかし、この機能は「CPUの1コアあたり2GB〜4GB」のメモリを割り当てることを推奨しています。

例えば、Intel Core i9-14900K(24コア/32スレッド)やAMD Ryzen 9 7950X(16コア/32スレッド)のようなハイエンドCPUを使用する場合、その性能をフルに発揮させるだけで64GB以上のメモリが要求されます。もし64GBしか搭載していない場合、メモリ不足によりCPUの使用率が上がりきらず、高価なCPUが宝の持ち腐れになるだけでなく、最悪の場合はアプリケーションがクラッシュして作業データが飛ぶリスクすらあります。

用途 推奨メモリ容量 128GBが必要になる具体的なシチュエーション
4K動画編集 32GB – 64GB After Effectsでの多重レイヤー合成、長尺のRAMプレビュー
8K動画編集/RAW現像 64GB – 128GB DaVinci Resolveでのノイズリダクション、Fusionエフェクト多用時
3DCG (Blender/C4D) 64GB – 128GB 数億ポリゴンのシーン展開、高解像度テクスチャの大量読み込み
フォトグラメトリ 128GB以上 数千枚の写真データから3Dモデルを生成する際の処理上限拡大

ここがポイント

クリエイティブの現場において、128GBメモリは「処理速度を上げるパーツ」というよりは、「ソフトウェアが落ちずに完走するための保険」であり、プロにとってはダウンタイムを防ぐための必須コストと言えます。

生成AIのローカル環境に必要な容量

昨今の「PCメモリ 128GB」検索の急増を牽引している最大の要因は、間違いなく生成AIです。特にMeta社の「Llama 3」などに代表される高性能なオープンソースLLMを、クラウドAPIを使わずに自分のPC(ローカル環境)で動かしたいという需要が爆発的に増えています。

通常、AIモデルの推論はGPUのVRAM(ビデオメモリ)上で行うのが最も高速ですが、一般消費者向けで最高峰の「GeForce RTX 4090」でさえ、VRAMは24GBしかありません。70B(700億パラメータ)クラスのモデルを扱うには全く足りないのです。

システムメモリへのオフロード技術

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ここで128GBのメインメモリが救世主となります。「Llama.cpp」などの推論実行ツールを使用することで、VRAMに入り切らないモデルデータをメインメモリ側に「オフロード(退避)」させることができます。これにより、推論速度(トークン生成速度)はGPU単体で動かす場合に比べて大幅に低下しますが、「そもそも動かない」状態から「実用的な速度で動かせる」状態へと劇的な変化をもたらします。

また、AIとの会話履歴や読み込ませたドキュメントを記憶しておく「コンテキスト(KVキャッシュ)」もメモリを大量に消費します。モデル本体だけでメモリがかつかつだと、長い文章を読ませた瞬間にエラーで止まってしまいますが、128GBあれば十分な余力を残して高度な推論が可能になります。

推論速度の目安
70BモデルをGPU+CPU(128GB RAM)で動かした場合、毎秒2〜4トークン程度の速度が出るのが一般的です。これは人間が文字を読む速度より少し遅い程度ですが、チャットボットやコーディング支援としては十分に実用的です。

ゲーム用途に128GBはいらないか

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「ゲームなら16GB、多くても32GBあれば十分」というのは、一般的なFPSやRPGにおいては依然として正解です。しかし、PCゲームの醍醐味である「シミュレーション」と「MOD(改造データ)」の世界に足を踏み入れると、この常識は崩れ去ります。

特に象徴的なのが、2024年に登場した「Microsoft Flight Simulator 2024」や、都市開発シム「Cities: Skylines II」です。これらのタイトルは、デフォルト状態でもメモリ消費が激しいですが、ユーザーが作成した高精細な機体データや、リアルな建物アセットを数千個単位で追加(MOD導入)し始めると、メモリ使用量は青天井に増加します。

実際に、大量のアセットを読み込んだ「Cities: Skylines II」の巨大都市データでは、起動しただけで60GB以上のメモリを消費する事例が報告されています。このとき、物理メモリが64GBしかないと、OSは不足分をSSD上の「ページファイル(仮想メモリ)」に書き出し始めます。SSDはメモリに比べて圧倒的に遅いため、これが原因でゲーム中に画面がプチフリーズする「スタッター」が発生し、没入感が著しく損なわれるのです。

ゲーマー視点での128GBの価値
平均フレームレート(fps)を上げる効果はほとんどありませんが、SSDへのスワップを完全に防ぐことで「1% Low fps(最低フレームレート)」を底上げし、カクつきのない「ヌルヌルとした安定感」を得るために極めて有効です。

128GB対応ノートPCという選択肢

「出張先のホテルでAIの開発をしたい」「撮影現場で8K映像の仮編集を行いたい」といったニーズに応えるため、128GBメモリを搭載可能なノートPCも存在します。しかし、これは家電量販店で売られているような薄型軽量ノートとは全く異なるジャンルの製品です。

具体的には、Dellの「Precision 7000シリーズ」やHPの「ZBook Fury」、MSIの「Titan GT77/18 HX」といった、「モバイルワークステーション」や「フラッグシップゲーミングノート」と呼ばれるカテゴリーです。これらの機種は、通常のノートPCが2本しか持たないメモリスロット(SO-DIMM)を4本搭載しており、32GBモジュールを4枚挿すことで128GBを実現します。

ただし、その代償として本体重量は3kg〜4kgを超え、ACアダプターだけでもレンガのような重さになります。バッテリー駆動時間も負荷時には1時間程度しか持たないため、「持ち運べるデスクトップPC」という割り切りが必要です。

Mac Studioの128GBモデル評価

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Windows環境にこだわりがないのであれば、Appleシリコン(M2 Ultra / M3 Ultra)を搭載した「Mac Studio」は、128GB以上のメモリ環境を構築する上で最もスマートかつ強力な選択肢となります。

Macの最大の特徴は「ユニファイドメモリ」アーキテクチャです。これはCPUとGPUが同じメモリプールを共有する仕組みで、Windows PCのように「メインメモリ」と「VRAM」が分かれていません。つまり、搭載した128GB(あるいは192GB)のメモリを、そのままGPUが使える広大なVRAMとして扱えるのです。

PCで128GBのVRAMを持つGPUを用意しようとすれば、数百万円クラスの「NVIDIA RTX 6000 Ada」などが必要になりますが、Mac Studioであればその数分の一のコストで同等のメモリ容量を扱えます。メモリ帯域幅も最大800GB/sと、PC用DDR5メモリ(2枚で約100GB/s程度)を遥かに凌駕しており、特にAIの学習や推論において圧倒的なパフォーマンスを発揮します。

Macの注意点
購入後のメモリ増設は一切不可能です。最初に128GBモデルを選んだら、それ以上増やすことも減らすこともできません。また、価格も本体込みで60万円〜100万円コースとなるため、長期的な用途を見据えた決断が必要です。

PCメモリ128GBの導入における注意点

ここからは、Windowsの自作PCで128GB環境を構築しようとするチャレンジャーに向けた、より実践的で技術的な解説です。DDR5メモリの128GB構成は、今のところ「パーツを買って挿せば動く」ほど甘い世界ではありません。

DDR5の4枚挿しは起動しない問題

現在主流のDDR5メモリで128GBを実現するには、32GBのメモリモジュールを4枚、マザーボードの全スロットに挿入する必要があります。しかし、ここに最大の技術的ハードルが存在します。

コンシューマー向けマザーボード(LGA1700やAM5)のメモリ配線は「デイジーチェーン」と呼ばれる方式が主流です。これは「CPU → メモリA → メモリB」と数珠つなぎに配線される構造で、2枚刺し(1DPC)の時に信号品質が最適になるよう設計されています。ここに4枚(2DPC)のメモリを挿すと、信号の反射ノイズ(スタブノイズ)が劇的に増大し、DDR5の高周波信号を正確に伝送することが困難になります。

クロック低下の現実

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この信号品質の劣化を防ぐため、メモリコントローラー(IMC)は安全策として動作クロックを大幅に下げようとします。パッケージに「DDR5-6000」や「DDR5-6400」と書かれたメモリであっても、4枚挿しにした途端、定格の4800MHz、あるいはそれ以下の3600MHz〜4000MHzまで速度を落とさないとPCが起動(POST)しないケースが多発しています。

また、4枚のメモリが隙間なく並ぶことで、メモリ上の電源回路(PMIC)の発熱がこもりやすくなり、熱暴走によるエラーも起きやすくなります。これを防ぐには、ケース内のエアフロー設計が重要になります。

より詳細なエアフロー対策については、PCケースの正圧と負圧どっちがいい?エアフローの正解と配置でも解説していますので、熱対策が気になる方は合わせて参考にしてみてください。

128GB対応マザーボードの選び方

上記のようなトラブルを回避するためには、マザーボード選びが極めて重要です。「最大128GB対応」と書いてあっても、すべてのメモリで動作するわけではありません。

必ずマザーボードメーカーの公式サイトにある「QVL(Qualified Vendor List:メモリサポートリスト)」を確認してください。このリストで「4 DIMM」の構成で動作確認が取れているメモリ型番を選ぶことが、安定動作への唯一の近道です。

「96GB」という賢い妥協案

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最近では、「24GB」や「48GB」という中途半端な容量のDDR5メモリが登場しています。これを使えば、「48GB × 2枚 = 96GB」という構成が可能です。

128GBには及びませんが、物理的に「2枚構成」であるため、マザーボードへの電気的な負荷が軽く、6000MHz以上の高速クロックでも安定して動作しやすいという絶大なメリットがあります。「どうしても128GB必須なのか? 96GBでも足りるのではないか?」を一度検討することをおすすめします。

128GB搭載おすすめBTOパソコン

「相性問題やBIOS設定でのトラブルシューティングは自信がない」という方は、自作PCではなく、最初からプロが検証済みのBTOパソコンを購入するのが正解です。

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ただし、一般的なゲーミングPCブランド(例えばドスパラのGALLERIAやMouseのG-Tuneなどの標準モデル)では、カスタマイズ画面で最大64GBまでしか選べないことが多いです。128GBを選択するには、以下のような「クリエイター向け」や「ワークステーション」ブランドを探す必要があります。

  • Mouse Computer DAIVシリーズ:クリエイター向けブランドで、検証済みの128GB構成が豊富。
  • HP Z Workstationシリーズ:プロフェッショナル向けで信頼性は抜群だが高価。
  • TSUKUMO eX.computer:ワークステーションモデルで柔軟な構成が可能。

導入にかかる価格とコスパの現実

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最後に、お財布へのインパクトについて冷静に計算してみましょう。2024年〜2025年の市場相場では、DDR5-5600クラスの32GBメモリ4枚セットだけで、安く見積もっても5万円〜8万円程度かかります。

これを受け止めるマザーボード(Z790/X670Eの上位モデル)が5万円〜10万円、CPUが8万円〜10万円、そしてGPUを含めると、システム総額は40万円〜60万円コースになります。

ゲーム用途だけでこの金額を投資するのは、対費用効果(コスパ)としては正直悪いです。しかし、AI開発において「クラウド利用料を毎月数万円払う代わりにローカルで実験し放題になる」と考えたり、映像制作において「レンダリング中の待ち時間を減らして年間で数十時間の時短になる」と捉えられるなら、この投資は十分に回収可能な「安いくらいの設備投資」と言えるでしょう。

PCメモリ128GBで後悔しない結論

まとめです。PCメモリ128GB環境は、もはや一部のマニアだけの「ロマン」ではなく、AI時代を生き抜くための強力な「武器」になりつつあります。

  • 迷わず導入すべき人:70BクラスのローカルLLMを動かしたいエンジニア、業務で8K動画を扱うクリエイター、Cities: Skylines IIなどで限界を超えた街づくりをしたいゲーマー。
  • 慎重になるべき人:一般的な最新ゲームを高画質で遊びたいだけの人、Excelやブラウザ作業が中心の人(32GB〜64GBで十分お釣りが来ます)。

もし128GBの道へ進むのであれば、DDR5の「4枚挿しによる速度低下」という物理法則を理解し、適切なパーツ選びを行うか、あるいはMac Studioのような統合環境を選ぶ覚悟が必要です。この記事が、あなたのPCライフを次のステージへ引き上げるきっかけになれば幸いです。

※本記事で紹介しているソフトウェアの仕様やハードウェア要件は執筆時点(2025年)のものです。最新の動作要件については、開発元の公式サイト(出典:Adobe After Effects 必要システム構成など)を必ずご確認ください。

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