LeanPower Lab運営者の「Masa」です。このブログでは開設当初から、単なる性能数値ではなく、いかに少ないエネルギーで最大のパフォーマンスを引き出すかというワッパの追求を一貫したテーマとして掲げてきました。2026年を迎え、RTX 50シリーズやRX 9000シリーズといった魅力的な選択肢が増えましたが、同時に消費電力や発熱への懸念も大きくなっているのではないでしょうか。カタログスペック上のTDPだけを眺めていても、実運用で本当に効率の良いおすすめの構成は見えてきません。
今回は、私が長年こだわり続けてきた電力効率の視点から、最新のグラボやCPUを徹底的に分析し、性能を一切犠牲にすることなく電気代と発熱を抑え込むための自作PC構築術を余すところなくお伝えします。
【この記事でわかること】
- 最新世代GPUとCPUの中で最も電力効率に優れたモデルが具体的にわかる
- ベンチマークデータに基づいた無駄のないパーツ構成の正解が見つかる
- アンダーボルト設定など性能を維持したまま消費電力を下げるテクニックが学べる
- 長期的な電気代の節約額と静音性のメリットについて理解できる
⚠️ 結論を急ぐ方へ
「理論よりも、今すぐ買うべき具体的なパーツリストが知りたい!」という方は、用途別に厳選したこちらの記事をご覧ください。この通りに買うだけで最強のワッパPCが完成します。
2026年のワッパ PC構築におけるパーツ選定
ワッパ(Performance per Watt)を追求するPC作りにおいて、最も重要なのは「どのパーツを選ぶか」という最初のステップです。単に省電力なローエンドモデルを選ぶのではなく、高い性能を持ちながらもエネルギー効率が良い「スイートスポット」を見極めることが成功の鍵となります。まずは主要パーツであるグラボとCPUの最新事情を深掘りしていきましょう。
グラボのワッパ比較で見る最強モデル

ゲーミングPCにおいて最も電力を消費するのは間違いなくグラフィックボードです。ここを間違えると、システム全体のワッパは大きく下がってしまいます。2026年のGPU市場を見渡したとき、私が「これぞワッパ・キングだ」と確信したのは、AMDのRadeon RX 9070(無印)です。
なぜこのモデルが「最強」なのか。その理由は、TGP(Total Graphics Power)の設定と実効性能のバランスにあります。RX 9070のTGPは220Wに設定されています。これは競合となるNVIDIAのRTX 5070が定格250Wであることを考えると、30Wものアドバンテージがあります。「たった30W?」と思うかもしれませんが、PC内部の熱処理において30Wの差は非常に大きく、ファン回転数や騒音レベルに直結します。
さらに驚くべきは、そのパフォーマンスです。『New World』や『Call of Duty』シリーズといった負荷の高いタイトルにおいて、RX 9070はRTX 5070よりも少ない消費電力で、同等以上のフレームレートを叩き出すケースが多々確認されています。これはRDNA 4アーキテクチャが、前世代で課題だった電力効率を根本から見直し、シリコンレベルでの最適化に成功した証拠と言えるでしょう。
また、これまでRadeonの弱点と言われてきたレイトレーシング(RT)性能に関しても、RDNA 4で劇的な改善が見られます。これまではRTをオンにすると消費電力が跳ね上がり性能がガタ落ちしていましたが、新しいRTアクセラレータの実装により、光の計算処理に伴う電力オーバーヘッドが大幅に削減されました。『Resident Evil 4』や『Cyberpunk 2077』といった重量級タイトルでも、ワッパを維持したまま美麗なグラフィックを楽しめるようになっています。
上位モデルには注意!
一方で、同じシリーズでも上位モデルのRX 9070 XTや、NVIDIAのフラッグシップRTX 5090には注意が必要です。これらは「絶対性能」を追求するために、メーカー側でクロックと電圧を限界近くまで引き上げて出荷されています。そのため、性能が10%上がる代わりに消費電力が40%増えるといった「非効率な領域」で動作しており、ワッパ重視のユーザーにとっては最適解とは言えません。
CPUのワッパ重視のおすすめ選び方

CPU選びもワッパ PCには欠かせない要素です。GPUにデータを送る司令塔であるCPUが電力を食い過ぎては意味がありません。ここでは「ゲーミング時の効率」と「アイドル時の効率」という2つの視点で評価が分かれるのが非常に面白いところです。
まず、ゲームプレイ中の電力効率において、現在他の追随を許さないのがAMD Ryzen 7 9800X3Dです。このCPUに搭載されている「3D V-Cache技術」は、CPUダイの上に大容量のキャッシュメモリを積層する技術ですが、これがゲーミングワッパに革命を起こしました。キャッシュヒット率が劇的に向上するため、メモリへのアクセス頻度が減り、CPUコアが高い電圧でブン回らなくてもGPUに大量のデータを供給できるのです。
実際に『Cyberpunk 2077』などをプレイしても、CPU単体の消費電力は平均94W程度に収まることが多いです。対抗馬となるIntel Core Ultra 7などが同条件で100Wを超える電力消費をする中で、この数値は驚異的です。少ない電力で最高のフレームレートを出す、まさにゲーマーのための理想的なCPUと言えます。
一方で、IntelのCore Ultra 200Sシリーズ(Arrow Lake)も進化しています。こちらは特に「低温動作」と「アイドル時の消費電力」に優れています。TSMC製の最先端プロセスを採用したことで、前世代までの「爆熱」イメージを払拭しました。特にアイドル時やWebブラウジング、動画視聴といった軽負荷時の電力制御が優秀です。
もしあなたが、「PCを起動している時間の8割はYouTubeを見たりネットサーフィンをしている」というタイプであれば、Core Ultraシリーズの方がトータルの電気代は安くなる可能性があります。自分の使い方が「ゲーム集中型」なのか「万能型」なのかを見極めることが、CPU選びの第一歩です。
最新ベンチマークによる電力効率の評価
「ワッパが良い」という言葉は抽象的ですが、これを客観的に判断する指標として「FPS/W(1ワットあたりのフレームレート)」があります。最新のベンチマークデータを詳しく分析すると、カタログスペックからは見えない興味深い事実が浮かび上がってきます。
例えば、絶対性能の王者であるRTX 5090ですが、1440p以下の解像度でのゲーミングにおいては、実はそれほど効率が良くありません。これはなぜでしょうか? RTX 5090は巨大なチップと大量のメモリを搭載しているため、ただ起動しているだけでも高い「基礎代謝」のような電力を消費します。1440p程度の負荷ではGPUが本気を出す前にCPU側の限界(ボトルネック)が来てしまい、GPUは仕事を待っている間も無駄に高い電力を消費し続けることになるのです。
| GPUモデル | 1080p効率 | 1440p効率 | 4K効率 |
|---|---|---|---|
| RTX 5090 | 悪い(余力過多) | 普通 | 良い(本領発揮) |
| RTX 5070 | 非常に良い | 非常に良い | 普通(負荷限界) |
| RX 9070 | 最高 | 最高 | 良い |
逆に、ミドルハイレンジのRTX 5070やRX 9070は、現在の主流である1440pゲーミングにおいてGPUの能力を余すことなく使い切れるバランスになっています。特にRX 9070は、前述の通りレイトレーシング使用時でもRTX 5070と同等以上の効率を示すデータが出ており、RDNA 4の実力が証明されています。
また、ワッパを評価する上では「フレームレート制限(FPS Cap)」の重要性も忘れてはいけません。例えば『League of Legends』のような軽量ゲームで、GPUが全力で500FPSを描画して300W消費するのは電力の無駄遣いです。モニターのリフレッシュレート(例:144Hz)に合わせて上限を設定することで、GPU負荷が下がり、消費電力が100W以下に落ちることも珍しくありません。これも立派なワッパ向上テクニックの一つです。
RTX50とRX9000の評価と違い

2026年の二大巨頭、NVIDIAのRTX 50シリーズ(Blackwell)とAMDのRX 9000シリーズ(RDNA 4)。それぞれの設計思想の違いが、ワッパに対するアプローチにも色濃く反映されています。
NVIDIAのBlackwellアーキテクチャ、特にRTX 5070は、「バランス型の優等生」といった印象です。ハードウェアそのものの電力効率も高いですが、NVIDIAの真骨頂はソフトウェア技術にあります。アップデートされたDLSS 4.5は、AIによるフレーム生成をさらに効率化し、画質の劣化を極限まで抑えつつ、レンダリング負荷を大幅に下げることに成功しました。
「DLSSを使うとワッパが良くなる」というのはどういうことかと言うと、例えばネイティブ解像度で60FPSを出すのに250Wかかるところを、DLSSを使えば内部解像度を下げて同じ見た目の画質を作り出し、GPU負荷を下げて200Wで同等の体験を得られる、あるいは同じ電力で100FPSを出せるということです。この「AI込みのトータル性能」における安定感はNVIDIAの独壇場です。
対するAMDのRX 9000シリーズは、ハードウェアの「素の力」での効率化に注力しています。RDNA 4では、ハイエンド競争(対RTX 5090)をあえて避け、ボリュームゾーンであるミドルハイクラスの効率化に全リソースを集中させました。これにより、RX 9070(無印)のような傑作が生まれました。
ただし、AMDには「モデルによる差が激しい」という特徴があります。先ほど絶賛したRX 9070(無印)は最高ですが、上位のRX 9070 XTは要注意です。XTモデルはライバルに対抗するために、メーカー出荷段階でクロックを無理に引き上げている傾向があります。そのためピーク時の消費電力が激しく増大し、ワッパが悪化しています。「AMDならどれでもワッパが良い」わけではなく、「無印モデル」こそがRDNA 4の真価を発揮している点を見逃さないようにしてください。
アイドル時の消費電力を抑えるポイント

PCを使っている間、常に高負荷なゲームをしているわけではありませんよね。YouTubeを見たり、記事を書いたり、あるいはただデスクトップ画面を表示して放置している時間も長いはずです。この「低負荷時(アイドル時)」の電力を抑えることは、月々の電気代を下げる上で非常に重要です。
ここで構造的に有利なのは、Intel Core Ultra 200Sシリーズです。Intelが採用したタイルベースアーキテクチャは、プロセッサ内の各機能ブロック(タイル)ごとに細かく電力制御を行うことができます。これにより、重い処理をしていない時は不要な回路への給電をカットし、消費電力を極小まで絞ることが可能です。
一方で、AMDのRyzenシリーズは「チップレット構造」を採用しており、CPUコアとは別にI/Oダイ(入出力管理用のチップ)が存在します。このI/Oダイが、メモリコントローラーなどを維持するために常にある程度の電力を消費し続ける特性があります。そのため、完全にアイドル状態になっても、システム全体の消費電力がIntel機に比べて10W〜20Wほど高くなる傾向があります。
マザーボード選びも隠れた節約ポイント
アイドル電力を左右するもう一つの要因がマザーボードです。X870Eのようなハイエンドマザーボードは、大量のUSBポートやPCIeレーン、強力なVRMフェーズを備えていますが、これらは使っていなくても電気を食います。ワッパを気にするなら、必要な機能だけを備えたミドルレンジのB850チップセットなどを選ぶのが賢い選択です。
さらに、Windowsの「電源プラン」の設定も再確認しましょう。「高パフォーマンス」設定はCPUのクロックを常に高く維持しようとするため、アイドル時の電力を無駄に増やします。通常は「バランス」設定にしておき、必要な時だけクロックが上がるようにするのが、最もワッパに優れた運用方法です。
実践的なワッパ PCのおすすめ構成と設定
パーツ選びが終わったら、次はそれらをどう組み合わせ、どう設定するかです。実は、ここからが「ワッパPC」の真骨頂と言えます。自作PCの良いところは、メーカー製の吊るしPCとは違い、自分の手で細かくチューニングできる点です。デフォルト設定のまま使うなんてもったいない!少しの手間で、効率は劇的に向上します。
ここからは具体的な構成例を紹介しますが、もし「自分で一つ一つ探すのは面倒」「相性確認済みのリストが欲しい」という場合は、以下の記事にそのままカートに入れられる完全リストを用意しています。
ゲーミング特化の最強自作レシピ

もし私が今、ゲーム専用で「最強のワッパ PC」を組むなら、迷わず以下の構成にします。この構成は、フレームレートあたりの消費電力を極限まで低く抑えつつ、ハイエンドなゲーム体験を損なわないことを目的としています。
| パーツ | 選定モデル | 推奨製品名(例) | 詳細な選定理由 |
|---|---|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 7 9800X3D | AMD Ryzen 7 9800X3D (BOX) | ゲーミング時の電力効率が世界トップクラス。平均100W以下で動作し、ハイエンドGPUの足を引っ張らない唯一無二の存在。 |
| グラボ | AMD Radeon RX 9070 | Sapphire PULSE Radeon RX 9070 | TGP 220Wの無印モデル。SapphireのPULSEシリーズは冷却と静音性のバランスが良く、無駄に電力を盛っていないためワッパ優秀。 |
| マザボ | B850 チップセット | MSI MAG B850 TOMAHAWK WIFI | X870Eは過剰。アイドル電力を抑えるならB850がベスト。TOMAHAWKはVRM効率が良く、安定性と省電力のバランスが高い。 |
| メモリ | DDR5-6000 32GB | G.SKILL Flare X5 DDR5-6000 | AMD EXPO対応のスイートスポット。電圧を盛らずに安定動作するため、CPUのメモリコントローラーへの負荷と発熱を抑えられる。 |
| SSD | Gen4 NVMe 1TB | Solidigm P44 Pro 1TB | 世界トップクラスの電力効率を誇るSSD。特にアイドル時の消費電力が極めて低く、システム全体の待機電力削減に貢献。 |
| クーラー | 空冷サイドフロー | Thermalright Phantom Spirit 120 SE | 9800X3Dなら空冷で十分。水冷ポンプの電力消費をカットできるため、トータルのワッパは空冷の方が有利。 |
| 電源 | 750W Platinum | Seasonic VERTEX PX-750 | 低負荷時でも変換効率が高いPlatinum認証。Seasonicは電圧変動が少なく、パーツへの負荷も低い。 |
この組み合わせなら、ゲーム中のシステム全体消費電力を300W〜350W程度に抑えつつ、WQHD解像度で最高画質のプレイ環境が構築できます。ハイエンドPCでありながら、ドライヤーの弱風よりも遥かに少ない電力で動くのです。
アンダーボルトで性能維持し電気代節約
ハードウェアを組んだ後にぜひ挑戦してほしいのが「アンダーボルト(低電圧化)」です。これは、CPUやGPUに供給する電圧を手動で下げるテクニックのことです。「電圧を下げたら不安定になるのでは?」と不安に思うかもしれませんが、実は工場出荷時のパーツは、品質のばらつきを考慮して「過剰な安全マージン」を取って電圧が高めに設定されています。
この余分なマージンを削り、その個体が安定して動くギリギリまで電圧を下げることで、性能を一切落とさずに消費電力と発熱だけを劇的に削減できるのです。まさにワッパPCの奥義と言えます。

具体的な設定の目安
NVIDIA RTX 5070の場合:
定番ツールの「MSI Afterburner」を使用します。カーブエディタを開き、電圧を900mV(0.9V)あたりに設定して、クロックを2800MHz前後に調整して固定します。私の調査では、この設定によりピーク消費電力が定格の250Wから180W〜200W程度まで低下しました。消費電力が20%以上減るインパクトは絶大です。
AMD Radeon RX 9000シリーズの場合:
AMD公式ドライバーの「Adrenalin Edition」にあるチューニング機能を使います。電圧設定を「自動」から「手動」に切り替え、最大電圧を定格の1150mVから1050mV〜1080mVあたりまで下げてみます。同時に「電力制限(Power Limit)」のスライダーをマイナス10%程度にするのも効果的です。これにより、無駄な電力スパイクを抑制できます。
自己責任で行ってください
アンダーボルトはパーツの個体差(シリコンガチャ)に大きく左右されます。設定を詰めすぎるとゲームがクラッシュしたり、PCが再起動したりするリスクがあります。最初は少しずつ電圧を下げていき、ベンチマークソフトなどで安定動作を入念に確認しながら行ってください。
クリエイティブ用途の構成と排熱対策

ここまではゲーマー向けの構成でしたが、動画編集や配信、3Dレンダリングなどを行うクリエイターの方には、少し違ったアプローチが必要です。クリエイティブ作業では、長時間にわたってCPUとGPUの両方に高負荷がかかることが多いため、安定性と排熱がさらに重要になります。以下に、2026年時点で私が推奨するクリエイティブ特化のワッパ構成をまとめました。
| パーツ | 選定モデル | 推奨製品名(例) | 詳細な選定理由 |
|---|---|---|---|
| CPU | Intel Core Ultra 7 265K | Intel Core Ultra 7 265K (BOX) | iGPUのQSV機能が動画編集で圧倒的なワッパを発揮。アイドル時の消費電力もAMDより低く、作業の合間の省エネ性で有利。 |
| グラボ | NVIDIA RTX 5070 | MSI GeForce RTX 5070 VENTUS 3X | あえて3連ファンの上位モデルを選ぶ。大型ヒートシンクにより、アンダーボルト運用時にファン回転数を下げられるため、安価な2連ファンモデルより結果的に省電力に。 |
| マザボ | Intel Z890 | MSI PRO Z890-A WIFI | クリエイター向けのスタンダード。拡張性が高く、安定した電力供給が可能。派手なLED装飾がない分、余計な電力を食わない。 |
| メモリ | DDR5-6400 64GB | G.SKILL Trident Z5 RGB DDR5-6400 64GB (32GBx2) | Intel XMP 3.0準拠の定番モデル。Neo(AMD用)と異なりIntel環境での互換性が高く、大容量64GBで4K編集も快適。LEDはソフトで消灯して節電。 |
| SSD | Gen4 NVMe 2TB | Solidigm P44 Pro 2TB | 最高クラスの電力効率を持つSSD。発熱も比較的抑えられており、サーマルスロットリングによる速度低下(=電力の無駄)を防ぐ。 |
| クーラー | 360mm AIO水冷 | Arctic Liquid Freezer III 360 | 長時間レンダリングの熱を確実に逃がす。ArcticはVRM冷却ファンも付いており、マザボ周辺の寿命も延ばせる高効率クーラー。 |
| 電源 | 850W Gold/Platinum | Super Flower LEADEX VII Gold 850W | 負荷率50%付近で最も効率が良い。システムのピーク負荷を見越して少し余裕を持たせ、変換ロスの少ない領域で運用する。 |
CPUはIntel Core Ultra 7 265Kを推奨します。理由の一つは、Intel CPUに内蔵されているiGPU(内蔵グラフィックス)が持つ「QSV(Quick Sync Video)」機能です。これが動画のエンコードやデコードにおいて圧倒的な効率を発揮し、専用GPUを使わずとも高速かつ省電力に処理を行えます。編集時のプレビューも滑らかになります。
GPUには、Adobe系ソフトやBlenderでのCUDA処理効率が良いRTX 5070を選びます。ここでも先ほどのアンダーボルト設定は有効です。レンダリング時間が数時間に及ぶ場合、数十ワットの削減でも積もり積もれば大きな電気代の差になります。
また、冷却システムには280mm以上の大型AIO水冷クーラーをおすすめします。特に表で挙げたArctic Liquid Freezer IIIのようなラジエーターが厚いモデルは、ファンを低回転で回しても十分な冷却性能が得られます。「冷やす力に余裕を持つ」ことで、ファンモーターの電力消費と騒音を最小限に抑えることが、クリエイティブワッパPCの鉄則です。
コスパに優れた安いパーツの組み合わせ

「予算は抑えたいけど、ワッパの良いPCが欲しい」という学生さんやライトゲーマーの方には、新品パーツと「賢い中古選び」を組み合わせたコストパフォーマンス最強の構成を提案します。
初期費用(イニシャルコスト)を抑えることはもちろんですが、安いだけで電力をガブ飲みする旧世代の爆熱パーツを使ってしまっては、運用コスト(ランニングコスト)で損をしてしまいます。ここでは、購入価格が安く、かつ電力効率も現行世代に見劣りしない「奇跡のバランス」を持つ組み合わせを紹介します。
| パーツ | 選定モデル | 推奨製品名(例) | 詳細な選定理由 |
|---|---|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 5 9600X | AMD Ryzen 5 9600X (BOX) | BIOS設定でEco Mode (65W)にすることで、ワッパが劇的に向上。6コア12スレッドあれば大抵のゲームは快適。 |
| グラボ | RTX 4060 | MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK OC | 現在市場で手に入りやすいのがこの「OC」モデル。OCといっても消費電力への影響は極めて小さく、TGP 115Wの驚異的なワッパは健在。安くて高性能なド定番モデル。 |
| マザボ | B650 チップセット | ASRock B650M-HDV/M.2 | 機能を必要最小限に絞った高コスパモデル。VRMはしっかりしており、将来的なアップグレードにも対応可能。 |
| メモリ | DDR5-5600 32GB | TeamGroup Elite DDR5 5600MHz | 光らないシンプルなモデルを選ぶのがコツ。LED電力もゼロになり、価格も安い。TeamGroupは永久保証も付いておりコスパ優秀。 |
| SSD | Gen4 NVMe 1TB | KIOXIA EXCERIA PLUS G3 1TB | DRAMレスだがHMB効果で十分高速かつ省電力。発熱が少なく、ヒートシンクなしでも運用しやすい。 |
| クーラー | 空冷サイドフロー | Zalman CNPS13X DS BLACK | 温度表示機能付きクーラーの有力な選択肢。トップカバーにCPU温度をリアルタイム表示可能で、冷却性能も高く、見た目もスタイリッシュ。 |
| 電源 | 650W Gold | 玄人志向 KRPW-GA650W/90+ | 日本の自作PCユーザーにはおなじみの高コスパ電源。安価ながら80PLUS Gold認証を取得しており、変換効率が高いのが特徴。フルプラグイン式なので配線も楽。 |
CPU選びの核となるのは、最新世代のRyzen 5 9600Xです。このCPUの真価は、BIOS設定で「Eco Mode(65W制限)」を適用した時に発揮されます。デフォルト設定と比較してもゲーム性能の低下は誤差レベルに留まる一方で、消費電力と発熱は劇的に低下します。6コア12スレッドの処理能力があれば、動画を見ながらのゲームプレイも余裕ですし、価格もこなれており非常に扱いやすいモデルです。
そして、本構成の主役となるGPUにはGeForce RTX 4060を選定しました。以前は上位モデルのRTX 4070の中古も魅力的でしたが、現在は価格が高騰しており「コスパ構成」としては推奨しづらくなっています。その点、RTX 4060は新品でも手頃な価格で購入でき、何よりTGP 115Wという驚異的な省電力性が最大の武器です。ライバルのIntel Arc B580もコスパは優秀ですが、アイドル時の消費電力が高いという弱点があります。「PC本体の安さ」だけでなく「日々の電気代」まで含めたトータルコストで見た場合、ワッパと安さを高次元で両立したRTX 4060こそが、2026年の最も賢い選択と言えるでしょう。
結論としてワッパ PCを作るメリット
ここまで、かなりマニアックな視点でワッパ PCの構築について解説してきました。最後に改めて、「なぜそこまでしてワッパにこだわるのか」をまとめたいと思います。
最大のメリットは、やはり経済性(ランニングコストの削減)です。ここで具体的な数字を見てみましょう。公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定める電気料金の目安単価は31円/kWh(税込)です(出典:公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会『よくある質問 Q&A』)。
この単価で試算すると、ワッパを最適化したPC(全体負荷約350W)と、何も考えずに組んだハイエンドPC(全体負荷約600W)を毎日4時間ゲームで使用した場合、年間で約13,000円の差が出ます。4年間の使用サイクルなら約52,000円です。これは新しいミドルレンジCPUが一つ買えてしまう金額です。初期投資で少し高い高効率電源を買っても、十分にお釣りが来ます。
しかし、私が強調したいメリットはお金だけではありません。消費電力が低いということは、発熱が少ないということです。発熱が少なければ、ファンを高速で回す必要がなくなり、PCは驚くほど静かになります。ヘッドセットをしていても聞こえるようなファンの轟音から解放されるのです。
さらに、日本の蒸し暑い夏場において、PCからの排熱は部屋の室温を確実に上げます。「PCをつけているだけで汗ばむ」というあの不快感が軽減され、エアコンの効きも良くなります。これはカタログスペックには現れない、生活の質(QOL)に直結する大きなメリットです。
2026年のPC自作は、ただ「速い」だけでなく、「賢く、効率的で、環境にも優しいこと」が最もクールなスタイルだと私は信じています。ぜひ皆さんも、この記事を参考にワッパを意識したPC作りで、快適でスマートなデジタルライフを手に入れてください。
本記事で解説した理論をベースに、私が厳選した「間違いのないパーツ構成リスト」を別記事にまとめました。「ゲーミング」「クリエイティブ」「コスパ重視」の3つのプランを用意していますので、あなたの目的に合った構成を選んでみてください。
