LeanPower Lab運営者のMasaです。デスクのスペースを有効活用したい、あるいは持ち運びができるほどのサイズ感にこだわりたい。そんな自作PC好きの皆さんが最後に行き着くロマンが、mini itxケースと超小型グラボを組み合わせた5リットル以下の極小ビルドではないでしょうか。一般的な自作PCとは異なり、このサイズ帯ではパーツの寸法が1ミリ違うだけで組み立てられないといったトラブルが日常茶飯事です。特に、最新のグラフィックボードをいかにして狭い筐体に収めるか、そしてその熱をどう逃がすかは、多くの人が頭を悩ませるポイントかなと思います。今回は、私が実際にパーツを厳選して分かった、失敗しないための選び方や運用術を詳しくお話しします。この記事を読めば、理想の極小環境を作るための道筋がきっと見えてくるはずですよ。
5リットル未満の極小ケース選びで失敗しないための物理的制約の理解
RTX 4060など現行世代のショート基板グラボの具体的な適合性
Flex ATX電源の騒音問題を解決し、静音性を確保するパーツ選び
限られた空間で効率よく熱を逃がすための冷却・設定テクニック
理想のmini itxケースや超小型グラボを選び抜くための基礎知識
極限までサイズを削ぎ落としたPCビルドにおいて、まず理解しておくべきは「入るパーツが極端に限定される」という冷徹な事実です。一般的なデスクトップPCであれば、数ミリの余裕は当たり前ですが、5リットル未満の世界ではその数ミリが組み立ての成否を分けます。特に重要なのが、マザーボードとグラフィックボードを背中合わせに配置する「サンドイッチレイアウト」の構造を理解することです。ここでは、世界中の愛好家から支持されるケースや、今の世代で選ぶべきグラフィックボードの基準について、詳しく深掘りしていきましょう。
容積3.99LのVelka 3が誇る驚異の省スペース
超小型PCビルドの「聖杯」とも称されるのが、Velkase社のVelka 3です。容積わずか3.99リットルという数字は、実際に手に取ってみると「えっ、これで本当にPCなの?」と疑うほど小さく、厚手の辞書や少し大きめの弁当箱のようなサイズ感しかありません。この超コンパクトな筐体の中に、独立したGPUと内蔵電源をすべて収める設計思想は、まさにエンジニアリングの極致と言えるでしょう。

Velka 3の最大の特徴は、その徹底的な空間効率の追求にあります。外装パネルそのものが筐体の強度を支える「ユニボディ構造」に近い設計になっており、内部のデッドスペースが極限まで排除されています。そのため、一般的なケースにあるような「配線を隠すための裏配線スペース」などは一切存在しません。すべてのケーブルは、パーツの隙間を縫うように配置する必要があり、組み立ての難易度は非常に高いですが、完成した時のパーツの凝縮感は他では味わえない満足感を与えてくれます。まさに、ミリ単位の計算を楽しめる変態的(褒め言葉です!)なこだわりを形にできるケースですね。
| 項目 | 詳細スペック(Revision 3.0基準) |
|---|---|
| 容積 / 重量 | 3.99L / 約1.5kg |
| 対応GPU長 | 最大175mmまで |
| CPUクーラー高制限 | 最大37mmまで |
| 公式サイト | Velka 3 商品ページ |
私がVelka 3に注目している理由は、単に小さいからだけではありません。そのビルドクオリティの高さも魅力なんです。1.2mm厚の鋼板を使用しているため、手で持った時にズッシリとした剛性感があり、安っぽさが全くありません。ただし、このケースを選ぶなら、CPUクーラーはNoctua NH-L9aのような超薄型モデルに限定されますし、グラフィックボードもITX専用のショート基板モデルしか入りません。1ミリの計算ミスも許されない、そんなスリルを楽しめる人にはこれ以上の選択肢はありませんね。
安い費用で入手しやすいK39のコスパと魅力
「超小型PCの世界に足を踏み入れたいけれど、海外から2万円以上もするケースを取り寄せるのは勇気がいる……」という方にとって、救世主とも言える存在がSGPC K39です。AmazonやAliExpressなどの主要なECサイトで広く流通しており、タイミングが良ければライザーケーブル込みでも1万円前後という、非常に安い費用で入手できるのが最大の武器です。K39は、この界隈では「デファクトスタンダード(事実上の標準)」として扱われており、多くのユーザーがこのケースで極小ビルドの経験を積んでいます。

最新のv3モデルになってから、容積が5リットルを少し上回るサイズになりましたが、これが実は大きな改善ポイントなんです。CPUクーラーの高さ制限が緩和されたことで、冷却性能の高いThermalright AXP90-X53などのヒートシンクが使用可能になり、Ryzen 7クラスのCPUでも比較的安定して運用できるようになりました。また、グラボの長さ制限も185mmまで広がったため、選べるパーツの幅が大幅に増えています。
| 項目 | 詳細スペック(v3モデル基準) |
|---|---|
| 容積 | 約5.18L |
| 対応GPU長 | 最大185mmまで |
| CPUクーラー高制限 | 最大55mmまで |
| 公式サイト | SGPC K39 商品ページ |
私がこのケースを気に入っているのは、気兼ねなく改造(MOD)を楽しめる点にもあります。安価なので、パネルを塗装したり、追加のファンを強引に取り付けたりといった工夫もしやすく、自分だけの一台を作り込む楽しさがあります。初めての極小PCなら、まずはK39でパーツ選びと組み立てのコツを掴むのが、失敗の少ない賢い選択かなと思います。ちなみに、付属のライザーケーブルの質にはバラツキがあるので、安定性を求めるなら後述する高品質なものへの交換も検討してみてください。
RTX 4060のショート基板は極小ビルドの最適解
2025年現在、5リットル以下の極小ビルドにおいて、グラフィック性能と熱管理のバランスが最も優れているのは、間違いなくGeForce RTX 4060です。NVIDIAのAda Lovelaceアーキテクチャを採用したこのチップは、圧倒的な電力効率を誇り、TGP(総グラフィックス電力)がわずか115W程度に抑えられています。この「低消費電力」こそが、シングルファンのショート基板モデルでも安定して冷やせる最大の理由なんです。かつての世代では、小型グラボは「熱くてうるさい」のが当たり前でしたが、4060に関してはミドルレンジの性能を持ちながら、驚くほど静かに動作するモデルが多いですね。

特に170mm以下のショート基板モデルは、mini itx ケースの限られた空間に完璧にフィットします。これ以上の性能を望むと一気に発熱が増えるため、この「4060」というラインが、極小ビルドにおける一つの大きな境界線になっています。具体的なスペックについては、公式情報が参考になります(出典:NVIDIA公式サイト『GeForce RTX 4060 ファミリー』)。
これらのカードの凄さは、単に小さいだけでなく、DLSS 3(フレーム生成)などの最新機能がフルに使える点にあります。フルHD解像度であれば、重量級のAAAタイトルもレイトレーシングを有効にした状態で快適に遊べるパワーを持っています。まさに、「小ささと性能を両立させたい」というわがままなニーズに応えてくれる、現在の最適解と言っても過言ではないでしょう。
4060 Ti以上の性能を求める際に直面する物理的壁

自作ユーザーの性として、「もう少しだけ上の性能を……」とRTX 4060 Tiや、さらにはRTX 4070を5リットルケースに詰め込みたくなる気持ちは非常によく分かります。しかし、ここからは一気に「茨の道」が始まります。まず大きな壁となるのが、ショート基板モデルの極端な少なさです。シングルファンのRTX 4060 Tiは世界的に見てもPalitやColorfulなどの限られたメーカーからしか発売されておらず、日本国内の正規代理店経由で入手するのは至難の業です。
さらに、物理的な「熱」の問題も深刻です。RTX 4060 TiのTGPは160Wを超えてくるため、シングルファンで冷やし切るにはファンをかなりの高回転で回す必要があり、ゲーム中の騒音はまるでジェットエンジンのような轟音になることも珍しくありません。この騒音に耐えきれず、結局パーツを買い直す人も多いのが現実です。
5リットル以下のケースにおいて、160W以上の発熱を処理するのは非常に困難です。筐体内に熱がこもりやすく、サーマルスロットリングによる性能低下が発生しやすいため、スペック上の数字ほどのパフォーマンスが得られない可能性も考慮しておく必要があります。
もし、どうしても4070以上の性能が必要なら、潔くケースを10リットルクラスへサイズアップすることをおすすめします。わずかな容積の差が、パーツの選択肢を広げ、冷却性能を劇的に改善してくれるからです。自分の用途が「1080pでの快適さ」なのか、「1440p以上でのガチプレイ」なのかを見極めることが、パーツ選びの迷いを断ち切る鍵になるはずです。
Flex ATX電源の騒音問題を解決する高品質モデル
超小型PCビルドにおいて、意外な伏兵となるのが電源ユニットです。5リットル未満のケースでは、一般的なATX電源やSFX電源は大きすぎて入りません。そこで使われるのが、サーバー向け規格である「Flex ATX」電源です。この電源、実は「爆音」で有名なんです。40mmという極小ファンを高負荷時に10,000回転近く回して冷却するため、キーンという高い金属音が部屋中に響き渡ることになります。
この騒音問題で超小型PCを挫折する人も多いのですが、唯一の救いと言われているのがEnhance ENP-7660Bというモデルです。これは600Wの出力を持ちながら80PLUS Platinum認証を取得しており、変換効率が非常に高いため無駄な熱が発生しにくい設計になっています。これによりファンの回転を抑えることができ、驚くほどの静音性を実現しているんです。

| 型番 | 出力 / 効率 | 特徴 |
|---|---|---|
| ENP-7660B | 600W / Platinum | アイドル時ほぼ無音。最高峰のFlex電源 |
| 入手先目安 | オリオスペック、Velkase公式、AliExpress等 | |
私が実際に使ってみて驚いたのは、アイドル時や動画視聴程度ならファンが回っているのか分からないほど静かだということです。安価なFlex電源は、保護回路が不十分だったり、寿命が短かったりするリスクもあるため、大切なPCパーツを守るためにも、ここだけは予算をケチらずに投資する価値があるパーツかなと思います。
mini itxケースや超小型グラボを冷やす排熱術
PCを組み上げた後、避けて通れないのが「熱管理」という難問です。超小型PCの場合、パーツ同士の距離が極めて近いため、排熱が滞ると一気に温度が上昇し、システムの不安定化を招きます。特に日本の夏は高温多湿で、PCにとっては過酷な環境です。しかし、適切なパーツ選定とソフトウェア設定を組み合わせれば、5リットル未満の筐体でも「冷えて静かな」環境を作ることは十分に可能です。ここでは、私が実践しているノウハウをすべて共有します。
NH-L9aやAXP90で挑むCPU冷却の物理的限界
CPU冷却の要となるヒートシンク選びは、ケースの「幅」によって1ミリ単位で決まります。Velka 3のような超スリムケースの場合、高さ制限はわずか37mm。この極限の制約下で圧倒的な支持を得ているのが、Noctua NH-L9a-AM5です。Noctua特有の高品質な静音ファンと、緻密に設計されたヒートシンクの組み合わせは、このサイズ帯では他の追随を許しません。
一方で、もう少し冷却能力にこだわりたい方に人気なのが、Thermalright AXP90-X47 Full Copperです。これはヒートシンク全体が「純銅」で作られており、アルミニウム製よりも熱伝導率が高いため、ピーク時の温度を数度下げる効果があります。この「数度」の差が、極小ビルドでは非常に大きいんです。

ただし、どんなに優秀なクーラーでも、物理的な面積の限界はあります。最新のRyzenなら、低消費電力な「Eco Mode」に設定するだけでも、性能を大きく落とさずに発熱を劇的に下げることができます。無理をして大きなクーラーを詰め込み、サイドパネルにファンが接触して異音が出る……なんて失敗をしないためにも、自分のケースの制限高をしっかりと確認して、1〜2mmの余裕を持った選定を心がけましょう。
性能を維持し熱を抑える低電圧化の必須テクニック
物理的な冷却が限界に近いなら、ソフトウェアの力で発熱をコントロールしましょう。その筆頭がUndervolting(低電圧化)という手法です。最近のCPUやGPUは、どんな環境でも安定動作するように少し余裕を持って高い電圧が設定されています。この「余分な電圧」を削ることで、消費電力と発熱を抑えつつ、クロック周波数を維持させることが可能なんです。

私が特におすすめしているのが、AMDのRyzen CPUで使える「Curve Optimizer」という機能です。これは各コアの電圧カーブを調整するもので、適切に設定すれば、温度を5〜10℃下げながらベンチマークスコアが上がるといった結果が得られることもあります。GPUに関しても、MSI Afterburnerなどのソフトを使って電圧カーブを調整すれば、ゲーム中の消費電力を削減でき、ファンの回転数を抑えることに直結しますよ。
PCIe 4.0ライザーケーブルで防ぐ動作トラブル
サンドイッチ構造のケースに不可欠なのが、GPUを延長して繋ぐライザーケーブルです。これ、実はただの「延長コード」だと思って安物を買うと、痛い目を見ます。最近のパーツはPCIe 4.0(Gen4)という高速な規格で動いていますが、安価なケースに付属しているケーブルが古いPCIe 3.0対応だと、信号の劣化が起きて画面が映らなかったり、動作が不安定になったりするトラブルが頻発します。

もし画面が映らない場合は、一度グラボをマザーボードに直接差し込んで、BIOS設定からPCIeスロットのモードを「Gen3」に手動で固定してみてください。これで映るようになる場合は、ライザーケーブルがGen4の速度に耐えられていない証拠です。
私が信頼して使っているのは、ADT-Link製のライザーケーブルです。各信号線がしっかりとシールドされており、ノイズに強いため、安定してGen4のスピードを引き出してくれます。また、ケースによってケーブルの「長さ」や「コネクタの向き」が厳密に決まっているので、購入前にマニュアルをチェックして、自分のケースに最適なモデルを選ぶようにしましょう。ここを妥協しないことが、安定した極小PCライフを送るための秘訣です。
小径ファンの静音化に効く交換用Noctuaファン
「PCは完成したけれど、やっぱりファンの音が耳につく……」という場合に、最後の手段として検討したいのが、ファンの換装です。特にFlex ATX電源の標準ファンは、風切り音だけでなく「ジジジ……」という軸受の異音が気になることが多いですよね。ここで登場するのが、自作ユーザーの強い味方、Noctuaのファンです。

Noctuaの40mmファン(NF-A4x10やA4x20)は、このサイズとは思えないほどの静音性と風量を両立しており、交換するだけで不快な高音がマイルドな風切り音に変わるほど劇的な効果があります。あの独特の茶色いカラーリングも、今では信頼の証のように見えてきますね。
ただし、電源ユニット内部のファンを交換するのは、電気的な知識が必要で非常に危険な作業です。メーカー保証も一切なくなるため、まずは前述の高品質な電源を選ぶことや、低電圧化で発熱自体を減らすことを優先してください。挑戦する際は、電圧(12Vか5Vか)を必ず確認し、自己責任で慎重に行いましょう。
おすすめパーツを安く揃える個人輸入と国内店舗
こうした特殊パーツをどこで買うか、これは自作派にとって永遠のテーマです。結論から言うと、「安心の国内専門店」と「安さの海外通販」を使い分けるのが賢いやり方です。例えば、グラボやマザーボードは、初期不良や故障時の保証が重要なので、ツクモやパソコン工房といった国内ショップで購入するのが一番です。特にショート基板モデルは見つけた時に確保しておくのが鉄則ですね。
一方で、Velkaのような海外ブランドのケースや、特殊なライザーケーブルなどは、メーカー直販サイトやAliExpressといった海外通販の方が圧倒的に選択肢が多く、安く手に入ることが多いです。国内でこうしたマニアックなパーツを扱っている数少ない聖地が、秋葉原にあるオリオスペック(Oliospec)さんです。小型PCに特化した品揃えで、店員さんの知識も豊富なので、不安な方は直接お店に足を運んで相談してみるのも良いでしょう。正確な情報は各メーカーの公式サイトで必ず確認しつつ、じっくりと理想のパーツを揃えていきましょう。
mini itx ケースと超小型グラボが切り拓く新しいPCライフ
ここまで、5リットル以下の極小PCビルドという、深くて魅力的な世界について語ってきました。パーツ選びの制約は厳しいですし、組み立ての難易度も高い。でも、試行錯誤の末に完成したmini itxケースと超小型グラボの組み合わせによるPCが、デスクの上で静かに、かつパワフルに動いている姿を見ると、それまでの苦労がすべて報われるような、何とも言えない達成感があるんです。この凝縮された密度感、そして「この小ささで最新ゲームが動く」というギャップ。これは一度味わうと、もう大きなタワーPCには戻れない中毒性がありますよ。
デスク周りがスッキリすることで、仕事や趣味の集中力も上がるかもしれませんし、何より自分のこだわりが詰まった最高の一台がそこにあるという事実は、日々のモチベーションを大きく高めてくれるはずです。もちろん、自作や改造には相応のリスクが伴います。最終的なパーツの選定や組み立ての判断は自己責任となりますので、慎重に進めてくださいね。もし迷った時は、専門ショップの店員さんに相談したり、コミュニティの情報を参考にしたりして、一歩ずつ進んでいきましょう。
