PCケースで5インチベイが多いおすすめモデルと活用法
こんにちは。LeanPower Lab運営者の「Masa」です。
最近の自作PC市場では、フロントパネルがガラスやメッシュで覆われたデザインが主流となり、5インチベイを搭載したモデルが急速に姿を消しています。しかし、HDDを増設してホームサーバーを構築したり、Blu-rayドライブで高画質な映画を楽しんだりと、5インチベイが多いPCケースを必要とする場面は依然として少なくありません。現行の最新モデルからミドルタワー、そしてフルタワーに至るまで、拡張性を諦めたくない自作ユーザーのために、今選ぶべき選択肢を徹底的に調査しました。
- 5インチベイを3基以上搭載することで実現する高度なストレージ環境
- 拡張性と冷却性能を両立した現行のおすすめPCケースと選び方
- サーバー構築にも耐えうる産業用グレードや特化型ケースの評価
- 中古市場で今なお取引される往年の名機を活用する際のリスクと対策
PCケースで5インチベイが多いモデルを選ぶメリット
あえて今、5インチベイが多いPCケースを選ぶことには、単なる「古いパーツが使える」以上の大きな意味があります。ここでは、この拡張スペースがもたらす現代的なメリットと、システム構築における自由度の高さについて解説していきましょう。
5インチベイ3段以上の自作PC活用法

5インチベイが3段以上あると、PCの役割は劇的に変化します。最も強力な使い方は、「モバイルラック(リムーバブルケース)」を活用したストレージ密度の最大化です。
通常、3段の5インチベイを使用すれば、変換マウンタを介して3.5インチHDDを4台から5台まとめて搭載することが可能になります。もし2.5インチSSDであれば、1段のベイだけで4台から8台ものドライブを集積できる製品も存在します。
モバイルラック導入のメリット
ケース内部のシャドウベイに依存せず、外部からアクセス可能な大容量ストレージプールを構築できます。これにより、標準的なミドルタワーケースであっても、ファイルサーバーとして十分な容量を持たせることが可能です。
4段ベイを持つフルタワーの拡張性

さらにベイが増え、4段構成になると「トレードオフ」が解消されます。3段ベイのケースでは、「HDD用のモバイルラックを入れると光学ドライブが入らない」という悩みが発生しがちですが、4段あれば話は別です。
例えば、3段分をHDD×5台のスペースとして使い、残りの1段にBlu-rayドライブやファンコントローラーを搭載するといった「全部入り」の構成が実現します。これは、クリエイティブな作業でディスクメディアを扱いながら、バックグラウンドで大容量のデータをアーカイブするようなワークフローにおいて、最強の環境と言えるでしょう。
ストレージ重視の最新おすすめケース
「5インチベイが多い」ことと「最新の設計」は矛盾しません。特にストレージサーバー(NAS)やワークステーション用途に特化したモデルでは、このベイの存在がシステムの核となります。
最新のトレンドとしては、単に穴が開いているだけでなく、ホットスワップ機能や専用の冷却機構と組み合わせた運用が注目されています。システムの電源を切らずにHDDを交換できるホットスワップ機能は、24時間稼働が前提のサーバー用途では必須級の機能ですが、5インチベイさえあれば後付けでこの機能を実装できるのです。
2025年も重要な5インチベイの役割
クラウド全盛の時代ですが、物理的な5インチベイの役割は終わっていません。むしろ、「質」を求めるユーザーにとっては不可欠なものとなっています。
| 用途 | メリット |
|---|---|
| 光学ドライブ (ODD) | 4K UHD Blu-rayの再生や、M-DISCによるデータの長期保存には、USB外付けよりも安定したSATA内蔵ドライブが有利です。 |
| インターフェース拡張 | 古いケースでも、USB Type-Cや急速充電ポートを備えたパネルを増設することで、最新規格に対応できます。 |
| システム制御 | 物理的なつまみで操作するファンコントローラーや、システム情報を表示するLCDパネルなど、ガジェット的な楽しみ方も健在です。 |
意外な活用法:小物入れ
テクニカルな用途以外でも、空いたベイを「引き出し(ドロワー)」として使うのも人気です。USBメモリや予備のネジなど、デスク周りの小物をPC内部に収納できるため、作業環境がスッキリします。
ミドルタワーで実現する多段ベイ環境

「5インチベイが多いケース=巨大なフルタワー」とは限りません。設置スペースに限りがある場合でも、工夫されたミドルタワーケースを選ぶことで、多段ベイ環境は構築可能です。
最近では、デザイン性を損なわないように「隠蔽型」のベイを採用するモデルも増えています。フロントパネルの下部などにベイを隠すことで、普段はスタイリッシュな外観を保ちつつ、必要な時だけアクセスできる設計です。これなら、リビングやオフィスに置いても違和感がありません。
PCケースで5インチベイが多い製品の徹底比較
ここからは、実際に市場で入手可能なモデルや、中古市場で探すべき名機について、具体的な製品名を挙げながら比較していきます。カタログスペックだけでは見えてこない、運用の勘所も交えて紹介します。
4基ベイ搭載のSilverStone製品評価
現行モデルで最強の拡張性を求めるなら、SilverStoneの「SETA D1」は外せません。このケースの最大の特徴は、コンシューマー向けとしては希少な外部5.25インチベイを4基搭載している点です。
前述した「モバイルラック+ODD」の共存が余裕で可能であり、さらにモジュラー設計によって内部レイアウトを柔軟に変更できます。SSI-EEBというサーバーグレードのマザーボードにも対応しており、重量約10kgの堅牢なシャーシは、多数のHDDを搭載した際の共振もしっかり抑え込んでくれます。
産業用グレードの4段ベイケース
見た目の派手さよりも実用性と信頼性を最優先するなら、In Winの「IW-PE052B」のような産業用PC(IPC)ケースも選択肢に入ります。
こちらも4基の5インチベイを備えていますが、特筆すべきはSECC鋼板の厚み(0.8mm〜1.0mm)です。一般的なPCケースよりも圧倒的に頑丈で、大切なデータを物理的な衝撃から守ってくれます。飾り気のない質実剛健なデザインは、まさに「プロの道具」といった趣があります。
3基のベイを持つ名機と中古市場
新品の選択肢が減っている中、中古市場に目を向けると、かつての名機たちが輝きを放っています。
特にPhanteksの「Enthoo Pro」は、3基の5インチベイを持ちながら本格水冷にも対応する稀有な存在です。
また、中古市場で人気の高いCooler Masterの「CM 690 III」や「HAF X」などは、現代のケースにも引けを取らない冷却性能と拡張性を持っています。
中古ケース導入時の注意点
古いケースはUSBポートが2.0だったり、付属ファンが劣化していたりすることがあります。また、付属品のHDDトレイが欠品していると拡張性が台無しになるため、購入前の確認は必須です。
自作NASに最適なホットスワップ機能
NAS(ネットワーク接続ストレージ)を自作したいと考えている方には、SilverStoneの「CS380」が最適解の一つです。
このケースは、2基の5インチベイに加えて、最初から8基のホットスワップベイを標準装備しています。通常、これだけのホットスワップ環境を整えようとするとモバイルラックの追加購入でコストがかさみますが、CS380ならケース単体で完結します。まさに「HDDを詰め込むため」に生まれたケースと言えるでしょう。
冷却と拡張性を両立する重要ポイント

5インチベイをフル活用してドライブを満載にする場合、最大の敵は「熱」と「エアフロー」です。
モバイルラックを多段積みすると、フロントからの吸気が物理的にブロックされてしまいます。そのため、使用するファンは風量(CFM)よりも、空気を押し込む力である静圧(mmH2O)が高いモデルを選ぶのがポイントです。また、CS380のようにドライブケージ専用のファンを搭載できるモデルを選ぶなど、ドライブの冷却には細心の注意を払ってください。
結論:PCケースで5インチベイが多い環境へ
5インチベイが多いPCケースは、現代においてはニッチな存在かもしれません。しかし、その「物理的な余白」こそが、メーカー製PCでは決して得られない自由度と、あなただけの最強のシステムを構築する鍵となります。
- 究極の拡張性なら:SilverStone SETA D1 / In Win IW-PE052B
- 自作NASなら:SilverStone CS380
- バランスとデザインなら:Fractal Design Pop Air / Define 7 XL
- コスパ重視なら:中古のCM 690 IIIなどの名機
ご自身の用途に合わせて最適な「器」を選び、理想のPC環境を作り上げてください。なお、構成によっては電源容量やサイズ制限などの専門的な知識が必要になることもあります。不安な場合は専門店で相談することをおすすめします。
