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CPUグリス拭き取りのおすすめ道具は?無水エタノールと代用品の正解

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LeanPower Lab | CPUグリス拭き取りのおすすめ道具は?無水エタノールと代用品の正解

「LeanPower Lab」にお越しいただき、ありがとうございます。当ブログの管理人であり、ワットパフォーマンスを追求するPC自作愛好家のMasaです。

CPUクーラーの交換やメンテナンスをする際、意外と頭を悩ませるのが「古いグリスをどうやってきれいに拭き取る方法が正解なのか」という点ではないでしょうか。ネットで調べると無水エタノールや専用クリーナーが良いと出てきますが、わざわざ買う必要があるのか、家にあるティッシュや除光液で代用できないかと考える方も多いはずです。実は、適切な道具と頻度でメンテナンスを行わないと、新しいグリスの性能が発揮できないばかりか、最悪の場合はパーツを痛めてしまうこともあります。今回は、私の失敗談も交えつつ、安全かつ確実にCPUグリスを拭き取るおすすめの方法と、絶対にやってはいけないNG行動について詳しく解説します。

  • CPUグリスの拭き取りに最適なケミカルと避けるべき代用品の違い
  • ティッシュペーパーを使ってはいけない理由とおすすめの拭き取り素材
  • カチカチに固まったグリスを安全に除去するための実践テクニック
  • ソケットやピンにグリスが付着してしまった時の緊急対処法
目次

CPUグリス拭き取りのおすすめ道具と選び方

「たかが汚れ落とし」と侮るなかれ。CPUのヒートスプレッダ(表面の金属カバー)は、ミクロ単位で見ると細かな凹凸があり、ここに古いグリスが残っていると冷却性能がガタ落ちします。ここでは、私が普段愛用している鉄板のアイテムから、家にあるもので済ませたい場合の注意点まで、道具選びの基準を解説します。

無水エタノールとIPAの洗浄力比較

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CPUグリスの拭き取りにおいて、最も信頼性が高く、私たち自作erの間で標準とされているのがアルコール系の溶剤です。その中でも代表的なのが「無水エタノール」と「IPA(イソプロピルアルコール)」です。これらは見た目は同じ透明な液体ですが、成分や特性には明確な違いがあります。

まず無水エタノールですが、これは純度が99.5%以上のエタノールで、水分をほぼ含んでいないため、精密機器の洗浄に最適です。薬局で手軽に手に入りますが、酒税がかかるため500mlで1,000円〜1,500円程度と、価格が少し高めなのがネックですね。揮発性が高く、拭き取った後にスッと消えるので使い勝手は抜群です。

一方で、私が特におすすめしたいのがIPA(イソプロピルアルコール)です。工業用クリーナーの主成分として使われており、油分を分解する能力(脱脂力)がエタノールよりも優れています。シリコンオイルをベースとするCPUグリスに対しては、IPAの方が「溶かす力」が強いと感じます。しかも酒税がかからないため、無水エタノールよりも安価に入手可能です。純度99%以上のIPAを選べば、速乾性も抜群で基板へのダメージも最小限に抑えられます。

Intelの公式サポートページでも、CPU表面の清掃には糸くずの出ない布とイソプロピルアルコール(IPA)の使用が明記されています(出典:Intel『How to Apply or Remove Thermal Interface Material (TIM)』)。メーカーが推奨しているという事実は、何よりの安心材料ですよね。

ここがポイント洗浄力とコスパで選ぶなら「IPA(純度99%以上)」、入手しやすさなら「無水エタノール」がおすすめです。どちらも揮発性が高く、拭き跡が残りにくいのが特徴です。薬局の消毒コーナーや、ホームセンターの塗料コーナー(薄め液として売られていることもあります)を探してみてください。

家にある代用品や100均製品の是非

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「わざわざ専用の溶剤を買うのはもったいない」「家にあるもので済ませたい」という気持ち、すごく分かります。私も初心者の頃はそうでした。そこで候補に挙がるのが、消毒用エタノールや100円ショップで売っているアルコール除菌シートなどの代用品です。

結論から言うと、緊急時以外はあまりおすすめしません。

一般的な「消毒用エタノール」は、殺菌効果を最大化するために水分が20〜30%ほど含まれています。この「水分」がPCパーツにとっては大敵です。無水エタノールなら数秒で揮発するところ、消毒用エタノールは乾燥に時間がかかります。もし、拭き取り中にソケット内部やコンデンサの隙間にこの水分が入り込んでしまうと、すぐには乾かず、電源を入れた瞬間にショートしたり、時間をかけて腐食(サビ)の原因になったりするリスクがあります。

さらに危険なのが、「手ピカジェル」のようなジェル状の消毒剤や、ウェットティッシュです。これらには手肌を保護するための「保湿成分(グリセリン、アロエエキスなど)」や、乾燥を防ぐための添加物が含まれています。これらはアルコールが飛んだ後も揮発せずに残り、CPU表面にベタついた膜を作ってしまいます。この膜は熱伝導率が非常に低いため、せっかく高性能なグリスを塗っても、その間に「断熱材の膜」を挟んでいるような状態になり、冷却性能を著しく低下させてしまうのです。

代用品の注意点「アルコール入り」と書いてあっても、成分表に「水」「保湿剤」「香料」などが含まれているものは避けてください。ウォッカなどのスピリッツも、糖分などの不純物が含まれているため、基板がベタつく原因となりNGです。

除光液を使うリスクと禁止事項

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マニキュアを落とす「除光液」は、グリスのような油汚れを落とす力が非常に強いため、ネットの掲示板などでは代用品として名前が挙がることがあります。しかし、これはPCパーツにとっては劇薬になり得ます。

除光液の主成分であるアセトンは、特定のプラスチック(ABS樹脂やポリスチレンなど)を強力に溶解させる性質を持っています。PCのマザーボードには、CPUソケット、メモリスロット、PCIeコネクタなど、精密なプラスチック部品が大量に使われています。

もし作業中に、除光液を含ませたティッシュから液が垂れて、CPUソケットのプラスチック部分に一滴でも落ちてしまったらどうなるでしょうか。その部分が溶けてドロドロになり、変形してCPUが装着できなくなったり、ピンが固定できなくなったりして、マザーボード全体が「燃えないゴミ」と化してしまう恐れがあります。また、基板の表面保護層(レジスト)を痛める可能性もあります。

熟練者が自己責任で、ヒートスプレッダの金属表面だけを慎重に拭く分には可能かもしれませんが、リスクとリターンが見合っていません。たった数百円の溶剤代をケチって数万円のパーツを壊すリスクを冒すのは、賢い選択とは言えません。当ブログとしては、除光液の使用は明確に「禁止」とさせていただきます。

ティッシュはNG?拭く素材の正解

溶剤と同じくらい重要なのが、「何で拭くか」です。手近にあるティッシュペーパーを使いがちですが、実はこれもおすすめできません。

ティッシュはパルプ繊維が柔らかく、擦ると簡単に細かくちぎれてしまいます。拭き終わった後にCPU表面をよく見ると、白い粉のようなものが付着していませんか?これが「紙粉(リント)」です。この微細な繊維がCPU表面に残ったまま新しいグリスを塗ると、熱伝導の妨げになります。

さらに怖いのが、この紙粉がCPUソケット周辺やマザーボード上に散らばることです。特にLGAソケットの微細なピンに繊維が引っかかると、接触不良の原因になりますし、湿気を吸ってショートの原因になることもゼロではありません。

そこでおすすめなのが以下の2つです。

素材名 特徴 おすすめ度
コーヒーフィルター 紙の繊維が非常に強く、毛羽立ちがほぼない。100均で安く買える。表面が少しザラザラしているので、固着したグリスを掻き取る効果も高い。 ★★★★★
キムワイプ 実験室や工場で使われる産業用ワイパー。紙粉が出ないプロの定番。吸水性はティッシュより低いが、拭き上げには最強。 ★★★★☆
キッチンペーパー ティッシュよりはマシだが、製品によっては粉が出る。エンボス加工が深いものは汚れをキャッチしやすいので、最初の「粗拭き」には使える。 ★★★☆☆
マイクロファイバー 洗って再利用できるが、古いグリスの油分を完全に落とすのが難しく、使い捨てにはコストが高い。静電気が発生しやすいものもあるので注意。 ★★☆☆☆

個人的な最強コスパセットは、「IPA」+「コーヒーフィルター」です。コーヒーフィルターは驚くほど繊維が出ないので、仕上げ拭きに使うと鏡のようにピカピカになりますよ。100円ショップで数十枚入りが買えるので、PCメンテナンス用に一つストックしておくと便利です。

専用クリーナーのメリットと必要性

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ここまでは汎用品の話でしたが、自作PCパーツメーカーから出ている「専用クリーナー」にも大きなメリットがあります。「たかが掃除用具に1,000円以上出すの?」と思われるかもしれませんが、それに見合うだけの性能と安心感があります。

例えば、Arctic Silver社の「ArctiClean」などは、2種類の液体がセットになっています。1液目(Thermal Material Remover)は柑橘系の香りがする溶剤で、古くなってカチカチに固まったグリスを化学的に乳化・分解します。IPAでは何度も擦らないと落ちないような頑固な汚れも、これを垂らすとドロドロに溶け出します。そして2液目(Thermal Surface Purifier)で表面を完全に浄化し、新しいグリスの定着を良くします。ゴシゴシ擦らなくても汚れがスルッと落ちるので、CPUを傷つけるリスクが極端に低くなります。

また、Noctuaの「NA-SCW1」のような個包装のワイプタイプも素晴らしい製品です。最適な量の強力な洗浄液があらかじめ染み込んでいるため、液垂れの心配がなく、封を開けて拭くだけです。初心者の方でも失敗しようがありません。「たまにしかやらないから、ボトルを買っても余らせてしまう」「準備や片付けが面倒」という方には、むしろこちらの方が合理的で、トータルコストも安く済むかもしれませんね。

実践!CPUグリス拭き取りのおすすめ手順

道具が揃ったところで、実際にCPUグリスを拭き取る際の手順と、よくあるトラブルの対処法について解説していきます。特に、数年間メンテナンスしていないPCの場合、グリスの状態は想像以上に悪化していることがあります。

固まったグリスをきれいにする方法

長期間使用したCPUグリスは、熱による劣化で水分や油分が飛び、セメントやチョークのようにカチカチに固着していることがあります。これを無理に乾いた布で擦り取ろうとすると、CPUのヒートスプレッダ表面に微細な傷がついたり、余計な力がかかってピンを痛めたりする原因になります。

固着したグリスを安全に除去するおすすめの手順は以下の通りです。

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  1. 粗拭き(あらぶき): まずは乾いたペーパータオルやキッチンペーパーで、力を入れずに取れる範囲のグリスを優しく取り除きます。粉が舞わないように注意してください。
  2. パック(つけ置き): 小さく切ったキッチンペーパーやコーヒーフィルターに、IPAやクリーナーをたっぷりと染み込ませます。これをCPUのグリスが残っている部分に貼り付け、数分間放置します。いわゆる「パック」の状態にすることで、溶剤が固まったグリスの深部まで浸透し、軟化させます。
  3. 溶解と除去: グリスが溶剤を吸って柔らかくなったら、円を描くように優しく拭き取ります。力を入れるのではなく、溶剤の力で「浮かす」イメージです。
  4. 仕上げ拭き: 新しいコーヒーフィルターに少量のIPAをつけ、金属の光沢が出るまで丁寧に磨き上げます。光にかざして、油膜の虹色や繊維が残っていないことを確認しましょう。

焦らず、時間をかけて溶剤の化学反応を利用して「溶かして取る」ことが、CPUを傷つけない最大のコツです。

スッポン対策とクーラーの外し方

AMDのRyzenシリーズ(特にAM4ソケット)を使っているユーザーが最も恐れるのが、通称「スッポン」現象です。これは、グリスの粘着力が強すぎて、CPUクーラーを取り外そうとした際に、CPUのロック機構を無視してCPUがソケットから引き抜かれ、クーラーの裏側にくっついたまま外れてしまう事故のことです。これが発生すると、CPUのピンが折れ曲がったり、ソケットが破損したりするリスクがあります。

これを防ぐための鉄則は、「冷えた状態で作業しない」ことです。

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作業前のひと手間PCの電源を切り分解する前に、Cinebenchなどのベンチマークソフトを5分〜10分間回してCPUを十分に温めておきましょう。熱を加えることでグリスが柔らかくなり、粘着力が弱まります。PCをシャットダウンしたら、すぐに作業を開始します。

また、クーラーを外す際の動作も重要です。真上に引っ張る(引き抜く)のは絶対にNGです。クーラーを軽く押し付けながら、左右に少しずつねじる(ツイストする)ように動かします。グリスの層に空気を入れるイメージでねじり、クーラーがグラグラと動くようになってから、ゆっくりと持ち上げると安全に外せます。

万が一「スッポン」してしまい、CPUがクーラーから取れなくなった場合は、マイナスドライバーなどで無理に抉らないでください。CPUが勢いよく飛んでいってピンが曲がります。無水エタノールやIPAをCPUとクーラーの隙間に垂らして接着面を溶かすか、デンタルフロス(糸)を隙間に入れて、ノコギリのように引いて切断する方法が安全です。

ピンに付着した時の緊急対処法

拭き取り作業中に手が滑って、マザーボードのソケット内部(LGAピン)や、CPU裏面のピン(PGAピン)の間にグリスが付着してしまった……。これは自作erにとって悪夢のような瞬間で、血の気が引く思いがしますが、焦って布で拭くのは厳禁です。布の繊維がピンに引っかかり、ピン曲がりを引き起こして再起不能になります。

このような緊急事態には、以下の方法を試してみてください。成功率は100%ではありませんが、物理的に拭くよりは遥かに安全です。

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用意するもの:新品の柔らかい歯ブラシ、大量のIPA(または接点洗浄剤)

  1. マザーボードをケースから取り出すか、作業しやすいように周囲を養生します。
  2. 歯ブラシにたっぷりとIPAを含ませます。
  3. ピンの並んでいる方向(LGAソケットなら斜めになっていることが多いです)をよく観察し、その流れに沿って、極めて優しくブラッシングしてグリスを浮き上がらせます。絶対に逆らったり、強く押し付けたりしないでください。
  4. 浮いた汚れを、速乾性のパーツクリーナー(プラスチック対応のもの)やエアダスターで慎重に吹き飛ばします。
  5. IPAで再度洗い流し、目視でグリスが残っていないか確認します。
  6. 最後に、数時間〜半日ほど放置して、隙間に入った溶剤を完全に乾燥させます。

これはあくまで最終手段です。こうならないように、グリスを塗りすぎないこと、そして拭き取り作業中はソケットカバーを装着するか、CPUをソケットに固定したまま表面だけを拭く(周囲に垂れないよう細心の注意を払う)のがベストな予防策です。

塗り替え頻度と熱伝導率の低下

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「そもそも、どれくらいの頻度で塗り替えればいいの?」という疑問もよく耳にします。「一度塗ったらPCが壊れるまでそのままでいい」と思っている方もいるかもしれませんが、グリスは消耗品です。

一般的なシリコングリスの場合、1年から2年程度が塗り替えの目安と言われています。高品質なグリス(例えばThermal Grizzly Kryonautなど)の中には、長期安定性を謳うものもありますが、それでも経年劣化は避けられません。

主な劣化の原因は「ドライアウト(乾燥)」と「ポンプアウト現象」です。ドライアウトは液状成分が揮発して硬化すること。ポンプアウトは、CPUの熱収縮(熱くなったり冷えたり)の繰り返しによって、グリスが外側に押し出されてしまい、中心部のグリスが薄くなってしまう現象です。

もし、「最近ファンの音がうるさくなった」「ゲーム中のCPU温度が以前より5℃〜10℃高い」「頻繁にサーマルスロットリング(熱による速度低下)が起きる」と感じたら、グリスの寿命かもしれません。定期的なメンテナンスで新しいグリスに塗り替えることは、CPUを熱から守り、PC全体の寿命を延ばすことにも繋がります。

安全なCPUグリス拭き取りのおすすめ総括

最後に、今回の記事の要点をまとめます。CPUグリスの拭き取りは、PCメンテナンスの基本でありながら、パーツの性能を左右する重要な工程です。

  • 最強の組み合わせは「IPA(または無水エタノール)」+「コーヒーフィルター」。これでコストを抑えつつプロ並みの洗浄が可能です。
  • コストをかけたくない場合でも、水分を含む消毒用エタノール、保湿剤入りの手ピカジェル、プラスチックを溶かす除光液の使用は絶対に避けてください。
  • カチカチのグリスは無理に擦らず、溶剤を含ませたペーパーで「パック」してふやかしてから除去しましょう。
  • スッポン防止のため、作業前にはベンチマークソフトでCPUを温め、クーラーはねじりながら外すのが鉄則です。

適切な道具と正しい知識があれば、CPUグリスの拭き取りは決して難しい作業ではありません。数百円〜千円程度の投資で、愛機のリスクを回避し、性能を最大限に引き出せるなら安いものです。ぜひ、次回のメンテナンス時には「専用の道具」を揃えて、快適なPCライフを送ってくださいね。

※本記事で紹介した方法は、一般的な自作PCパーツにおけるメンテナンス手法です。実施にあたっては自己責任で行い、不安な場合はショップ等のプロに相談することをおすすめします。

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